今日は、人が自動的に反応してしまう承諾誘導のルールのうち、返報性の原理についてご紹介いたします。
あなたも返報性の原理については、聞いたことがあるのではないでしょうか。
返報性の原理とは、相手が自分に対し、何か恩恵があることをしてくれた場合、似たような形でそのお返しをしなくてはならないという気持ちになり、実際にお返しをするという原理のことです。
承諾誘導ルールのすべてにいえることですが、これらルールのすごさは、人は無意識にこのルールのとおり自動反応してしまうという点です。
いいかえれば、人は、これらルールの前では、よほど意識的でないと、「拒否」という選択はできないのです。
では、なぜ人には返報性の原理が働くのでしょうか。
まず、あなたは、人から何か恩を受けたとき、何らかの形でお返しをしようと思いませんか。
これは、幼少期における家庭での教育が大きいと思いますが、自分の親が他人から何らかの恩恵を受けたときにお返しをしている状況や姿を見ていて、自分も同じような行動をして良かった(相手に喜んでもらった)経験の積み重ねが思考及び行動習慣になっているものと思われます。
これは逆を考えれば当然のことで、こちらが相手に何かしてあげたのに、お礼も含め何も返ってこなければ、次にまたやってあげる気にはなりませんよね。
結局、返報性の原理の本質は、人が社会生活を円滑もしくは上手く送るための思考及び行動習慣のことなのです。
ではここで、この「受けた恩は返す」という、人の性質を上手く利用した例をご紹介します。
ある宗教団体のメンバーが、通行人のビジネスマンに近づき、「我々からの贈り物です。どうぞ!」と一輪の花を差し出します。
その男性は驚きましたが、綺麗な花だったので、受け取りました。
すると、その宗教団体のメンバーは、すかさず、
「我々の素晴らしい活動を一層発展させるために寄付(お金)をいただけたらありがたいのですが・・・・」
と続きます。
花を受け取ってしまったその男性には、この重苦しい雰囲気から逃れるためには、もはや寄付をしないという選択はありませんでした。
この宗教団体は、この手法で多額の寄付を集めたと言われております。何しろ、通行人が寄付をした後、近くのゴミ置き場に捨てた「一輪の花」をまた、再利用していたというのですから。
日本人には積極的に寄付をする文化はないものの、この例のような状況下で寄付をしないという方はどれぐらいいるでしょうか。
人は、年齢があがるにつれて、社会との交わりを深めます。そして、いわゆる経済的な成功者をはじめ、社会生活を潤滑または上手に送っている人ほど、大小かかわらず受けた恩をそのままにしている人はいません。
上記宗教団体の寄付収集活動は、人の性質のこの部分を突いたものだったのです。
では、ネットでのビジネスで返報性の原理が働く例にはどのようなものがあるでしょうか。
例えば、自分が知りたいことを無償で情報提供してもらう場合や、さらに一歩踏み込み、自分が悩んでいることに対し、適切なアドバイスをもらう場合などでしょうか。
リアルビジネスだとイメージしやすいと思いますが、自分の悩みからの解放に光を与えてくれる方には、同じ商品を買う場合でも、その人から買いたいという気持ちになるものです。
(家電量販店などで購入する商品に迷った際に、店員さんの丁寧で適切な説明により商品購入した経験はありませんか?)
ただ、ネットはリアルビジネスと異なり、相手と直接対面していないため、価値ある情報でも、ネットで受け取るとなぜか受け手は当該情報の価値を低くみる傾向があるように思います。
この点では、ネットはリアルビジネスと比較し、返報性の原理が働く強度は弱いと思います。
しかし、ネット(ブログ、メール、SNSなど)は、相手との物理的な距離を問いません(世界中どこでもアプローチ可能)。また、提供された情報は、受け手の都合のよいときにいつでも(24時間)受け取ることができるという特徴を有します。
したがって、これは経験上ですが、ブログやSNSを通した情報提供が受け手の悩みを解決するものであり、メールやSNSなどで、できる限り情報の受け手と直接コンタクトをとることで、リアルよりも接触回数を多くすることが可能な分、返報の度合いが大きいと感じることもあります(ザイオンス効果については別途、ご紹介いたします)。
ネットとリアルではビジネスの特徴は異なりますが、ビジネスの本質は共通してますので、参考にしてみてくださいね。