今日は、人が自動的に反応してしまう承諾誘導のルールのうち、希少性の原理についてご紹介いたします。
希少性の原理とは、日常にごくありふれたものでも、人は、いったん手に入りにくくなるとより貴重なものに思えてくるという性質です。
この希少性の原理については、あなたも多くの経験をしているかと思います。
たとえば、「数量限定」や「期間限定」という文字の入った広告
ある商品を目玉商品として原価割れで販売する場合にこのような文言を使うことももちろんありますが、そうではなく、販売促進策として用いている場合も結構あります。
ではなぜ、人は数量限定や期間限定という言葉に弱いのでしょうか。
実は、人は、同じぐらいに価値があるものなら、それを獲得することを考えるよりも、それを失うことを考えるときに強く刺激されるという性質があります。
つまり、失うことは恐怖なのです。
では、希少性の原理について、私のビジネスでの例をご紹介します。
私は、コンサルティング(不動産関連)などを業としておりますが、コンサルティングは、人が商品であるため、数量限定などの文言はそのまま使えません。
そこで、見込み客が私にコンサルティング依頼をするか否か迷われているときは、私は次のようにお話するようにしております。
「わたくしどもは、お客様に対し、そのときどきのすべての力を結集してコンサルティングにあたらさせていただいております。ですので、同時に数社抱えるということは致しておりません。
おかげさまで、今、御社以外に数社お待ちいただいておりますので、今ご契約いただかないと、次のお客様のご依頼をお受けすることになります。
そして、再度ご依頼の場合は、半年後からの着手になってしまいますが、よろしいでしょうか。」
この例は、数量限定、期間限定という表現ではありませんが、本質は、コンサル対応数を限定しているので希少性の原理の応用といえます。
希少性の原理の本質を理解することにより、あなたの業務でもさまざまな形で応用ができる原理なのです。
では、ネットビジネスでよく見る一例をみてみましょう。
まず、ネットで物品販売をする場合は、数量限定を使うことがあると思います(物販は、実際に商品に限りがあるため、ユーザーも数量限定のイメージをしやすい)。
一方で、情報商材は、情報を載せたPDFや音声教材が商品なので、無限のコピーが可能であり、そもそも数量限定という概念がないはずです。
にもかかわらず、セールスレターに理由もなく数量限定という文言が記載されているものを見ますと、作成者は希少性の原理を理解せず、どこかで学んだ文言をそのまま適用していると思われてしまいます。
(「貴重なノウハウなので限定100部のみ販売します。」というのはありえます。要は、見込み客が見て納得しやすい理由があることが大切です)。
小さなことですが、こういうところで見込み客の信用をなくし、販売数量に影響が出るので、希少性の原理を使う際には注意が必要です。
ちなみに、以前、ある塾の生徒募集で私が希少性の原理を使った例としては、以下のものがあります。
「塾生限定30名のみ募集します。塾生には必ず成果をだしてもらうため、私も全力を尽くしますが、これ以上の人数だと、私の満足いくサポートができないため、大変申し訳ありませんが、ご了承ください。なお、残念ながら、今後、同様の塾を開催する予定はありません。」
というものです。
販売者の心理としては、できるだけ多くの方に参加して欲しいと考えるため、「塾生限定30名のみ募集」で数量を限定し、「今後、同様の塾を開催する予定はありません。」で期間を限定するなんてもったいないと考えるのが通常です。
しかし、購入者としての心理は、数量と期間を限定されると参加できるチャンスを失うかもしれないという恐怖が先行し、逆に、この塾に価値を感じ、参加者が増えるという現象が起こるのです。
(もちろん、この塾の内容やサポートに強い興味がある見込み客がいることが前提です。なお、このときは本業が忙しく、本当にサポートに限界があったという事情はありました。)
なお、希少性の原理を使う場合の注意点ですが、本当は商品があるのに「残りわずか!」を演出することは、逆に、このお店には商品が不足しやいという認識を与えやすいのでおすすめはしません。それより、「今、売れてます!」の方が社会的証明の原理が働き、さらに売れやすくなります。
⇒社会的証明の原理
売れていて品薄の場合は、数量限定、期間限定を見込み客に伝えることでさらに売れるようになります。
その際のポイントは、理由を具体的なものにすることです。
例えば、「本商品は人気で1日10個以上売れており、残り50個となっておりますが、製造業者によりますと、商品入荷が2か月後とのことです。」など、見込み客がこの商品を手に入れるタイミング(5日以内に手に入れないと2か月後)をイメージできるぐらい具体的なものであるほど売れやすくなります。
あなたのビジネスでも、ぜひ希少性の原理を働かせてみてください。
<「希少性の原理」のまとめ>
・人間には失うことは恐怖という感情がある。
・数量限定、期間限定をうまく使うことでその商品の価値が上がる場合がある。
・「限定」を使う際には、見込み客がイメージできるような具体的な理由にする。